点滴の滴下の計算方法について知りたいです。。。
点滴の滴下の計算方法について解説させていただきます。
当記事は、そんな点滴の滴下計算に対して、疑問をもつ新人看護師さんに向けて解説しています。
こんにちわ。ナスメン君です。
ナスメン君プロフィール
- ナスメンブログでは、看護学生、新人看護師から中堅看護師向けに役立つ情報をお届けします。
看護師経験は10年以上の男性ナースです。 - わたしが学んだこと、経験したこと、失敗した事を惜しみなく伝えていきます。
- 私のモットーは、看護師の仕事をもっと働きやすい世の中にしたい。楽しくみんなで仕事をしたい。そんな思いでブログやYouTubeを配信しています。
点滴の滴下速度の調整について
点滴の種類によって、点滴の滴下速度は異なります。また、点滴の滴下速度の調整については、医師の指示の時間通りに滴下する必要があります。看護師は、日々点滴業務におわれるため、基本的な点滴の滴下速度について最低限理解する必要があります。
この記事では、点滴の滴下速度を合わせる方法を具体例を用いて解説していきます。
点滴の滴下速度の合わせ方【クレンメ使用】
点滴の滴下速度の調整は、クレンメを開放したり、しめたりして調整します。
点滴速度を早めるクレンメの使い方
点滴速度をクレンメを使って早くする方法は、クレンメを上にあげて解放状態にします。
一番上までクレンメを移動した状態にすると、点滴を全開投与する事ができます。
点滴速度を遅くするクレンメの使い方
点滴速度をクレンメを使って遅くする。あるいは止める方法は、クレンメを閉じた状態にします。
一番下まで下げた状態だと、点滴を止めた状態にすることができます。
点滴の滴下速度の調整はどこをみて調整するの?点滴筒を確認です!
点滴の滴下速度の調整は、輸液セットの点滴筒(てんてきとう)をみて滴下速度の調整を確認します!
ちなみに、点滴筒には1/3薬液が満たされている状態でセットしておくと、適切に滴下調整を行う事ができます。
点滴筒に1/3程度満たす理由については、滴下速度を適切に行うためです。
点滴筒内に、薬液を満たしすぎている場合は、滴下速度の調整を行う事ができません。また、少なすぎる場合は、空気の混入などのリスクがあります。そのため、適切に滴下の調整を行うためには1/3みたしてあげるのがベストです。
以下の注意点は必ず覚えておきましょう。
点滴投与中の注意点
輸液セットの種類により滴下速度は違う【成人・小児】
輸液セットには成人用ラインと小児用ライン二つの種類があります。
どちらも輸液セットとしての機能は同じですが、1ml投与するための滴下数が成人用と小児用では異なるため、それぞれ計算式が違うので覚えておきましょう。
成人用輸液ライン
1mlの輸液を投与するために20滴、滴下する必要がある輸液セットになります。
小児用輸液ライン
1mlの輸液を投与するために60滴、滴下する必要がある輸液セットになります。
点滴の滴下調整の計算は、医師の指示の表記方法を確認しよう!
点滴の滴下調整をするにあたり覚えておきたいポイントを解説します。
病院や施設、あるいは医師によっても、点滴の表記方法は異なることでしょう。点滴の指示の表記方法は違うので、どちらも覚えておくと便利です。
わたしが今までみてきた中で、おおくの病院で採用されているであろう、表記方法について解説します。
まずは、点滴の投与速度を計算する前に、どのような点滴の投与の指示なのかを必ず確認しておきましょう。
点滴の投与方法の表記は病院や医師により異なります!!!
- 総量と投与時間のみの表記方法
- 総量と流量指示のみの表記方法
具体的に上記の言葉はなにを意味しているか、わかりにくいので具体例で解説します。
・総量と投与時間のみの表記方法というのは、500mlの点滴を5時間で投与してください。というような表記方法です。
・総量と流量指示のみの表記方法というのは、500mlの点滴を60ml/Hで投与してください。というような表記方法です。
上記の二つの違いを必ず理解しなければいけません。
どちらも、見たことがありますね。
おそらく、点滴の指示は、上記で解説した二通りの表記方法で指示が記載されているかと思います。
まれに、よく使用する補液に関してはどちらの表記もなく、ただ補液のみ記載した表記をしている所もありますが、それは、病棟スタッフが理解していると主治医も思っているためだと思います。
ただ、新人看護師さんの場合は、表記がなければ医師へ確認して投与した方が確実だし、安全に投与できる事を覚えておきましょう。
今回の記事では、点滴の滴下計算の基本的な部分について、触れますが、さらに応用的な問題集を解きたい。あるいは効率的に点滴業務を行いたい。という方に向けて別の記事も用意しましたので、あわせてチェックして欲しいです♪
点滴の滴下に関する計算問題集や効率的に点滴業務を行う早見表について
点滴の滴下数の計算方法①【総量と投与時間のみの表記場合】
まずは、さきほども紹介しましたが、総量と投与時間のみの表記方法というのは、500mlの点滴を5時間で投与してください。というような表記方法です。
このような場合、1分間の滴下数の計算方法について後述していきます。
こっちのパターンはよく使う方法なので、絶対に覚えましょうね。
点滴の滴下数の計算式は以下の通りです。
1分間の滴下数を求める計算式=【輸液の総量】×【輸液セット1mlあたりの滴下数】÷【投与時間(分)】
以下で、成人用と小児用をわけて解説します。
成人用ルート(1ml=20滴)を使用した時の1分間の滴下数の計算方法
1分間の滴下数=輸液の総量×20(成人用輸液セットを使用した場合)÷投与時間(分)
幅広く使用される方法なので、覚えておく必要があります。
以下で、具体例を解説します。
- たとえば、成人用の輸液セットをつかって500mlの輸液を5時間で投与させたい場合は、どのように滴下したらいいか??
-
500ml×20÷5×60分=33.3(1分間の滴下数)
つまり、上記の例で解説すると60秒(1分間)に33滴くらいなので、目安としては、2秒に1滴落とせばよい計算になります。
小児用ルート(1ml=60滴)を使用した時の1分間の滴下数の計算方法
1分間の滴下数=輸液の総量×60(小児用輸液セットを使用した場合)÷投与時間(分)
小児用も一般的には使われることがありますので、覚えておくと便利です。
以下で、具体的に解説します。
- たとえば、小児用の輸液セットをつかって500mlの輸液を5時間で投与させたい場合は、どのように滴下したらいいか?
-
500ml×60÷5×60=100(1分間の滴下数)
上記の例で解説すると、60秒(1分間)に100滴くらいなので、10秒あたり16滴、あるいは5秒あたり8滴、3秒あたり5滴という計算になります。
個人的には、小児用輸液セットの場合は、割り切れる短い時間で点滴の調整をした方がより合わせやすいかと思います。
点滴の滴下数の計算方法②|【総量と流量指示のみの表記方法の場合】
次に二つ目の表記方法について解説しますね。総量と流量指示のみの表記方法というのは、500mlの点滴を60ml/Hで投与してください。というような表記方法です。
こういった、医師の指示はさきほど解説したものとは、ちょっと違いますよね。これをどのように計算するのか解説します。
点滴の滴下数の計算式は以下の通りです。
1分間の滴下数を求める計算式=【輸液の総量】×【輸液セット1mlあたりの滴下数】÷【投与時間(分)】
- たとえば、成人用輸液セットを使って500mlの点滴を60ml/Hで投与してください。という指示が医師からあった場合、どのように1分間の点滴をあわせたらいいでしょうか?
-
1時間あたり60ml流れるような計算なので、上記の計算式にあてはめると、60ml×20÷60分となり、1分(60秒)あたりの滴下数は20滴となります。さらに細かく計算すると、3秒に1滴の計算となります。
でも、計算式に500mlがでてこないけど、どうして?
1時間あたりに投与する量は60mlって決まっているので、500mlは計算しなくて大丈夫です。だいたい8時間くらいかかって投与するというイメージをもてばOKです!
もし、計算してみて不安がある場合、別の計算方法をしてみて滴下があっているか確認するのも一つの方法です。
たとえば、500mlを60ml/Hで投与する場合、500mlの点滴がどのくらい時間を要するか考えて、そこから滴下の計算をしてあげて確認するにもありかなと思います。
その場合は、500÷60で計算できるので8.333(8時間程度)となりますので、約8時間くらいで投与予定となります。
さらにそこから、500mlを8時間で投与するような(さきほどの公式をつかって。。)計算をすればOKです。
500×20÷8÷60で、もう一度計算をしてあげると、60秒で20滴くらいとなり。約3秒に1滴の滴下でよいことが確認する事ができました。
総量と流速だけだと計算が不安な方は、一度何時間で落とせるか計算をして、そこから1分間の滴下数を求めてもよいかと思います。
【便利】病棟で良く使う滴下数は計算せず暗記しよう!
よく使う滴下数は暗記すると便利
- 100mlの輸液を30分で滴下する。
- 100mlの輸液を60分で滴下する。
- 500mlの輸液を5時間で滴下する。
このあたりは、かなり定番というか、ぜひ計算しなくても覚えて欲しい点滴の滴下数だと個人的には思っています!!
よく使う補液の量については、暗記しておくと便利です。特に500mlや100mlなどの補液はどこの診療科でもよく利用しますので、そのあたりの滴下数を覚えておくと超時間の効率化につながります!!慣れてくると、点滴の計算をせずに暗記をして滴下をする事ができるようになります!!!
でも、新人看護師さんの場合は、必ずはじめは計算するようにしてください。基本を理解した上での、暗記ならOkだと思います。
多少の誤差はあるにせよ、完全によく使うものだけ滴下数を理解しておくと本当に便利です。
【ポイント①】100mlの点滴を30分で投与する滴下数の覚え方
100mlの点滴を30分で投与する場合。。。1分間の滴下数は66.666なので、
100mlの補液を30分で落とすには、1秒1滴くらいのペースで滴下する。と理解しましょう!
【ポイント②】100mlの点滴を60分で投与する滴下数の覚え方
100mlの点滴を60分で投与する場合。。。33.333なので、
100mlの補液を60分で落とすには、2秒1滴くらいのペースで滴下する。と理解しましょう!
【ポイント③】500mlの点滴を5時間で投与する滴下数の覚え方
500mlの点滴を5時間かけて投与する場合。。。33.333なので、
500mlの補液を5時間で落とすには、2秒1滴くらいのペースで滴下する。と理解しましょう!
点滴の滴下速度調整をするために必要な物!
点滴の滴下速度を調整するためには、秒針付きの時計、点滴の速度を計算するための計算機が必要になります。
以下の記事で病棟看護師がもつべきオススメアイテムなどを紹介していますので、ぜひ参考にしてみて欲しいです!
まとめ
当記事は、新人看護師さんの方に向けて点滴の滴下数の計算方法について解説しました。ユーチューブでも、あわせて動画で解説していますので、みてもらえると嬉しいです。
点滴業務がはじまる前に理解しておくべき滴下計算の方法について紹介しました。ぜひ、滴下計算を覚えてから点滴業務の実践をしてきましょう!